サザンオールスターズの名曲『希望の轍』。
「轍」は「わだち」と読みます。
ファンの間では長年愛され続けているこの楽曲ですが、意外にもシングルカットされていないことをご存じでしょうか。
サザンオールスターズ『希望の轍』の轍とは?
”轍”とは、車輪が通ったあとにできる跡のこと。
しかし『希望の轍』となると、その意味はもっと広がり、桑田さんらしい深い意味が込められているように思う。
この言葉の響き自体が、美しくも力強く感じますよね。
タイトルの意味/”轍”に込められたメッセージ
『希望の轍』は希望を胸に歩んできた人生の軌跡。
ときに迷いながらも前へ進んできた努力や葛藤の証。
そして同時に新しい未来へと続いていく道の始まりでもあるのです。
過去を振り返る言葉でありながら、未来へ踏み出すスタートラインでもある。
その両面性こそが『希望の轍』というタイトルの奥行きなのかもしれません。
映画「稲村ジェーン」の挿入歌としての存在感
この楽曲は、1990年公開の映画「稲村ジェーン」の挿入歌として制作されました。
映画初監督を務めたのは、サザンのボーカル”桑田佳祐”。
映画の舞台は鎌倉市稲村ケ崎周辺だ。
”音楽映画”であると同時に、若者たちの青春、そして過ぎ去っていく時間を描き出すまさに”青春映画”だ。
ヒロシ(加勢大周)が波子(清水美沙)のことを意識するようになり、彼女のことを想いながら車を走らせるシーンで流れる『希望の轍』。
その世界観と『希望の轍』は強く結びつく。
ちなみに”稲村ジェーン”とは、20年に一度、稲村ケ崎にやってくるという”大波”のこと。
メインキャストはサーファーのヒロシ(加勢大周)、バンドマンのマサシ(金山一彦)、チンピラのカッチャン(的場浩司)、横須賀から流れてきた波子(清水美沙)。
的場浩司はバラエティー番組で時々見かけますが、懐かしい面々です。
私も若い頃は、よくバイクで海沿いを走っていました。
その頃を思い出しながら聴く『希望の轍』は、私にとって青春そのものを映し出すような一曲です。
他の挿入曲「マンボ」「忘れられたBIG WAVE」「真夏の果実」。
いずれも、この映画のために書き下ろしたという楽曲達が呼び起こす情感は、堪らないものがありとても素敵です。
サザンの代表曲だけど、シングルカットされていない
『希望の轍』はアルバム収録曲であり、正式なシングルとして発売されていません。
それにも関わらず、ライブでは定番曲、ベストアルバムに収録、カラオケ人気も高い、
という異例の存在感を放っています。
2014年には、サザンオールスターズの曲を茅ケ崎駅の発車メロディに導入するため、茅ヶ崎商工会議所青年部の署名活動で1万件を超える署名とアンケートが集められ、茅ケ崎駅東海道線ホームの発車メロディに採用されている。
このバージョンは2023年の茅ヶ崎ライブに伴って臨時運行された「特急えぼし号」の茅ヶ崎発着時の車内放送前の案内メロディにも使われた。
このように、映画の聖地の人達にも愛され、この楽曲の完成度の高さとともに、多くのファンからの指示が圧倒的だということがお分かりでしょう。
卒業や結婚式で歌われる理由
この曲が卒業や結婚式で歌われるのには理由があります。
卒業シーズンに選ばれる理由
・新しい道へ進む若者へのエール
・過去を抱きしめながら未来で進む歌詞の世界観
・青春と決別する切なさと希望
結婚式で選ばれる理由
・二人で新しい人生の”轍”を刻むという象徴性
・明るく爽やかなメロディ
・前向きなメッセージ性
人生の節目にぴったりな一曲なのです。
『希望の轍』歌詞考察/青春の終わりと希望の始まり
『希望の轍』は単純な応援歌ではない。
楽曲全体に流れているのは、きらめく青春の記憶とそれが過去になっていく切なさです。
湘南の風景を思わせる情景描写の中に、もう戻ることのできない時間への郷愁が滲む。
映画「稲村ジェーン」の世界観とも重なりますが、この楽曲には”永遠に続くと思っていた季節が終わる瞬間”の感情が込められているように感じる。
しかし、そこで終わらないのがこの楽曲の魅力です。
タイトルにもある”轍”は、過去の跡であると同時に、これから誰かが進むための道しるべでもある。
つまりこの曲は、失われた青春を懐かしむ歌でありながら、未来へ踏み出す決意の歌でもある。
明るく疾走感のあるメロディとは対照的に、歌詞にはどこか影がある。
そのコントラストが「終わり」と「はじまり」を同時に感じさせる理由でしょう。
卒業シーズンにこの曲が響くとき、それは”別れの歌”であると同時に”出発の歌”にもなる。
結婚式で流れるときは、”青春の終章”と”新しい人生の序章”になる。
青春は終わるものではなく、未来へ続く轍になる。
そう考えると『希望の轍』というタイトルがより立体的に見えてくる。
サザンの「希望の轍」、カラオケ難易度は中~上級者向け
『希望の轍』はカラオケでも人気曲ですが、実は中~上級者向け。
理由は、
・音域が広い
・サビの高音が安定しづらい
・桑田佳祐独特のリズム感
感情を込めて歌おうとすると、更に難易度が上がります。
だけど、上手く歌えればかなり盛り上がる歌です。
まとめ/希望を刻み続ける名曲
『希望の轍』は、
・読み方は「きぼうのわだち」
・映画「稲村ジェーン」の挿入歌
・シングルカットされていない隠れた代表曲
・卒業や結婚式で選ばれる人生の応援歌
・カラオケは中~上級者向け
という多面的な魅力を持つ楽曲です。
時代が変わっても色褪せない理由は、
”希望”とは誰かが刻んだ”轍”を見つめたときに生まれるものかもしれません。
年齢を重ねた今だからこそ、この曲の意味が若い頃より深く胸に響きます。
若い頃には爽やかな青春を感じる曲でしたが、年齢を重ねた今では、自分が歩んできた人生の『轍』を重ねながら聴いています。
私にとって『希望の轍』は、青春を懐かしむだけの歌ではなく、人生の節目ごとに新しい一歩を踏み出す勇気をくれる歌だと感じています。
あなたにとっての『希望の轍』は、どんな景色と重なりますか?


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