「あかね噺」原作者・末永裕樹とは?会社員から落語漫画を生み出した異色の経歴

落語をテーマにした異色の漫画として人気の「あかね噺」。

週刊少年ジャンプで連載されているこの作品は、若い世代にはあまり馴染みのない「落語」の世界を熱いドラマとして描き、大きな注目を集めています。

その物語を生み出したのが、原作者の末永裕樹(すえながゆうき)です。

ボートレーサーに、同姓同名で末永祐樹(すえながゆうき)という方がおられますが、「裕」と「祐」で一文字違うのでお間違いないように、、、。

実は末永裕樹さんは、元会社員。

会社員で働く傍ら、”物語を作りたい”という思いから、漫画原作の投稿を始め、この世界に飛び込んだ人物。

今回は、「あかね噺」の誕生の背景とともに、”末永裕樹”という人物の歩みを見ていこうと思います。

会社員から漫画家の世界へ

1990年5月2日生まれ、熊本県出身 現36歳

広告代理店に就職し、数年間営業マンとして勤務していました。

会社員として働く傍ら、漫画原作の投稿を始めます。

2017年第3回「ストキンPro」(週刊少年ジャンプ原作賞)で「舞台を降りる、その時は」で準キング+キャラ賞を受賞します。

それをきっかけに、脱サラして漫画家専業の道へ進みました。

デビュー漫画は、2021年掲載読み切り作品の「舞台を降りるその時は」。

2022年2月、「あかね噺」は「週刊少年ジャンプ」にて連載がスタートしました。

今ではストキンProの審査員をしているようですよ。

「あかね噺」が生まれた理由とリアルに感じる理由

元々末永さんは、落語が好きだったわけではなかったようです。

漫才やコントなどのお笑いは好きだったようですが、落語ファンではなかった。

最初は落語ものをやりたかったわけではなく、まず朱音というキャラが出来た。

色々考えていくうちに、朱音という人物がやらなさそうな事をやらせてみたら面白いかな、と思い結果的に落語になったそうです。

おてんば娘=落語家

なかなか結び付かないですよね。

「あかね噺」の魅力は、落語の世界の「リアリティ」さがあることです。

落語家同士の礼儀やしきたり

師匠と弟子の上下関係

師匠への根回しといった描写。

そうした世界がとてもリアルに描かれています。

それは、末永さんの会社員時代のリアルな対人関係の経験が活かされているようです。

組織の中での人間関係や、落語界という”縦社会”のルール、大人としての立ち回りが、説得力あるドラマとして誕生。

それには、末永さんのサラリーマン経験がベースにあるからこそなんですね。

作画担当・馬上鷹将とのコンビ

「あかね噺」は原作と作画の分業作業です。

作画を担当しているのは、馬上鷹将(もうえ たかまさ)。

実はこのコンビ初めてではないんです。

週刊少年ジャンプ2021年27号に掲載された、読み切りの「タタラシドー」でコンビを組んでます。

「タタラシド―」はお笑い芸人”空気階段”をモデルとした、男子高校生の”お笑い”をテーマにしたストーリーです。

落語もまた、”芸”の物語。

この頃には末永さんも馬上さんも、もう”芸”の才能が芽生えていたのかもしれませんね。

馬上さんの作画には、落語という「座って話す芸」を、躍動感ある演出で表現しているのが特徴です。

読者がまるで寄席で落語を聞いているような感覚になるのは、この原作と作画の見事な連携によるものと言えるでしょう。

落語界のプロも関わる本格作品

「あかね噺」では、落語のリアリティを高めるために、実際の落語家が監修として関わっています。

その一人が

林家けい木(はやしや けいき)さん。

2025年3月に真打昇進し、現在の名称は「林家木久彦」。

1991年生まれの35歳で、2010年に入門。

林家木久扇の最後の真打弟子であり、師匠の引退後もその系譜を引き継ぐ存在として、注目されています。

監修される方なので、もっとお歳を召している方かと思いきや、とても若く、原作者と同世代の方だったんですね。

監修のきっかけは、けい木さんが自身のYouTubeなどで、「あかね噺」について語ったことが縁で、公式に監修を務めることになったそうです。

高座での所作、扇子の使い方、さらには落語家独特の言い回しや、楽屋の空気感まで、細かくアドバイスが入っています。

そのため、落語の世界が非常にリアルに描かれています。

また、けい木さんら本職の落語家が、作中に登場する演目を披露する「あかね噺の会」という落語イベントも定期的に開催されています。

物語のこだわり

末永さんは、単なる「芸の習得」だけでなく、落語界という特殊な「縦社会」

の人間模様を描くことにこだわっています。

落語の寄席にいる臨場感を出すため、綿密な取材を行っており、

自分の才能に甘んじることなく、落語界に深く入り込んでいます。

専門家の信頼を得るほど緻密なプロットを作る努力が、目の肥えた読者をも納得させているんでしょうね。

作中に登場するキャラクターには、実在する落語家がモデルとなっているケースがあります。

例えば、阿良川一生の弟子である三明亭円相は、昭和の大名人・三遊亭圓生がモデルとされています。

また末永さんはインタビューで

物語の冒頭で、「誰が主人公で、どんな奴なのか」をはっきりと示すことが読者を惹きつけるために不可欠

と語っています。

現代は情報が多く、読者は早い段階で「自分に合う物語かどうか」を判断する傾向にあります。

冒頭で魅力的なキャラクターを描写できれば、物語の本編へスムーズに読者を誘うことが出来るのでしょうね。

余談ですが、私が子供の頃は、「りぼん」と「なかよし」を読んでました。

しかし弟二人は「少年ジャンプ」

いつも家には「ジャンプ」があり、つい私も読んでいたんですよね。

どんな物語を読んでいたかは覚えていないのですが、当時の「少年ジャンプ」出身といえば、

ど根性ガエル  こちら葛飾区亀有公園前派出所

キン肉マン   キャプテン翼

マジンガーZ   Dr.スランプ

北斗の拳    キャッツ・アイ

などなど

どれもTVアニメとして放映され、大ヒットしましたよね。

私はテレビっ子だったんで、どのアニメも大好きでした。

この「あかね噺」は、2026年4月4日(土)より毎週土曜日、夜11時30分~

テレビ朝日系全国24局ネット、BS朝日で放映され

Netflixにて4月5日より先行配信される他、ABEMAなどでも順次配信予定です。

スピード出世の背景

末永さんは広告代理店での営業経験から、読者が何を求めているか、物語をどう「プレゼン」するかという客観的な視点を持っていたようです。

それがジャンプという激戦区での生存戦略に繋がった。

しかし、運や才能だけでなく、徹底した取材力と、「自分の強みをどこで活かすか」を冷静に判断した結果のスピード出世と言えるのではないでしょうか。

そして、末永さんの才能は、読者だけでなく多くの超大物クリエーターたちも惹きつけています。

その一人が桑田佳祐。

桑田佳祐による主題歌「人誑し/ひとたらし」の誕生

2026年に古希(70歳)を迎える桑田佳祐さん。

48年に及ぶ音楽活動の中で「アニメ主題歌として作詞・作曲の両方を手掛ける完全書き下ろし」は今回が初めてのことでした。

この大役を引き受けた背景には、作品への深い共感がありました。

アニメ制作側からの熱烈なオファーを受け、桑田さんは原作を徹底的に読み込みました。

女性の主人公が様々な困難を乗り越え立ち向かう様に心揺さぶられ、また、作品からインスピレーションを受けます。

そして、新曲「人誑し/ひとたらし」を書き下ろしました。

桑田さんは青学時代から落語に触れ、また日頃から寄席に通う落語好きとしても知られています。

楽曲には古典落語の演目を織り交ぜるなど、作品への愛が詰まっています。

また、作画の馬上さんが描き下ろした「アニメ版・桑田佳祐」として、アフレコにも挑戦しています。

まとめ/末永裕樹は天才漫画家?

「天才」という言葉の定義は人それぞれですが、

末永さんは「現在の週刊少年ジャンプにおいて、最も成功した戦略的なストーリーテラー(物語の構成作家)」

の一人として、天才的な手腕を発揮していると言えます。

1.異例の出世スピード

脱サラしてわずか数年で、「週刊少年ジャンプ」の看板作品の一つを作り上げ、アニメ化まで漕ぎ着けました。

このスピード感は、数多くのライバルがひしめく漫画界では「天才的な勝負強さ」が不可欠だと思います。

2.「落語」という難題をヒットさせた構成力

「落語」は動きがなく地味に見えがちな題材です。

それを、「少年漫画らしい熱いバトル」の構図に落とし込む

「会社員時代の経験」を活かしたリアルな人間関係を描く

といった手法で、老若男女が楽しめるエンターテインメントに昇華させました。

この「見せ方の発明」はまさに原作者としての才能だと思います。

3.プロデュース能力の高さ

制作の肝である、自分の頭の中にある物語を、作画の馬上さんの画力を最大限に引き出す形(ネーム)で伝える。

そして、落語家などの専門家から協力を引き出す「巻き込み力」があります。

また桑田佳祐さんなどの、超一流の表現者たちが絶賛するのも、彼が作る物語に「本物の熱量」が宿っているからではないでしょうか。

結論としては、末永さんは「何もないところから魔法のように絵を生み出す天才」というよりは、

「膨大な知識と経験を組み合わせて、誰も見たことがない熱狂を生み出す、物語構築の天才」

と呼ぶのにふさわしいかもしれません。

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