サザン「愛の言霊~Spiritual Message~」歌詞の意味を徹底解釈/深すぎる世界観

1990年代

1996年のリリースから30年が経とうとしている今もなお、日本の音楽シーンに異彩を放ち続ける怪作、サザンオールスターズの『愛の言霊~Spiritual Message~(スピリチュアルメッセージ)』。

作詞作曲、共に桑田佳祐。

ドラマ「透明人間」の主題歌として大ヒットしたこの曲ですが、改めて聴き返すと、桑田佳祐という天才が仕掛けた「言葉と音の迷宮」に目眩がします。

ちなみに、「眩暈(げんうん、めまい)」は視界が回転するようにグルグル回って見える感覚ですが、「目眩(めまい)」は目がかすみ、頭がクラクラする感覚です。

微妙~に、「目眩」と「眩暈」は違うんですよね。

両方経験した私は、今「目眩」と闘いながらというか共存し合いながら、なんとか日々を送っています。

さてこの名曲は、

「何言ってるかわからないけど凄い」

「よく分からないけど何か深い」

と、一見すると難解な歌詞。

しかし読み解いていくとーーー

愛・言葉・運命・生と死 までを描いた、非常に深い物語が浮かび上がります。

今回は、「愛の言霊」の歌詞の意味や解釈、そして古語のように聴こえる理由まで、私の解釈で整理したいと思います。

『愛の言霊』は「意味」を超えた「響き」の魔術

まず”言霊”という言葉。

これは日本古来の思想で

「言葉には魂が宿る」

という考え方です。

そしてこの曲の最大の特徴は、

日本語、英語、古語風の言葉が渾然一体となったカオスな歌詞。

どういう事か言うと、

「いくつかの異なる言葉が混ざり合っているが、区別がつかない程に調和している」

と言う意味で

ようは、「日本語、英語、古語風がバラバラではなく、一つの独特の世界観として、完全に混ざり合っている」

という意味です。

まさに、「カオスだけど凄くて美しい」

「愛の言霊」の全体像/愛は言葉から生まれ生死を越えようとする

この楽曲のストーリーを一言で、私なりにまとめてみるとーー

「愛が生まれ、言葉になり、運命に巻き込まれ、生死を越えようとする物語」

①まだ言葉にならない”感情の誕生”

・生まれく叙情詩(せりふ)とは

・夏の旋律(しらべ)とは

作詞作曲 桑田佳祐

ここで描かれているのは”言葉になる前の感情”

確かに心の中に”何か”が芽生えている状態。

そう、”これから生まれてくる感情の詩”

つまり、まだ形になっていない”愛の原型”を意味しているかのように私は感じます。

②想いが”言葉”となって現実に表れる瞬間

・愛の言霊

・禮!(らい!)

作詞作曲 桑田佳祐

ここで初めて、想いが言葉になります。

「禮」は「礼」の旧字体。

なんか、かけ声のようにも感じます。

この曲の核となる考え方が、先述したように、

”言葉には魂が宿る(言霊)”

という日本古来の思想。

つまりーー

”言葉はただの音ではなく、現実を動かす力を持つ”

愛は心の中にあるだけではなく、言葉にした瞬間から”現実”になると、私は思います。

③愛が”運命”や”呪縛”に変わる

・カゴメやカゴメ

・鍵屋

ここから空気が一変します。

楽しいはずの愛が、

逃げられない関係や運命へと変わっていく。

「カゴメやカゴメ」は、閉じ込められた世界・抜け出せない構造。

この「かごめかごめ」の歌は、鬼(真ん中に目を覆い座っている人)をみんなが手をつなぎ囲んだまま移動し、

歌の最後「後ろの正面だ~あれ」の時に自分(鬼)の後ろにいる人が誰かを当てる、という遊びで歌われています。

私も子供の頃は、よく「か~ごめかごめ」と歌いながら遊んでました。

でも、そのころは気づかなかったけど、よくよく歌詞を読むと怖いんですよね。

そして「鍵屋」は、夏祭りの高揚感と、(花火でも上がったのでしょうか?)運命を開く”鍵”。

という二面性を持っているのでは、と私は推測します。

つまり、愛しい人との死に別れ。

愛の甘さと怖さが同時に描かれているように思います。

④生と死の領域へ踏み込む

・閻魔堂

・釈迦堂

・黄泉の国

この曲が”凄い!”と言われる最大の理由がここにあると私は思います。

死後の世界まで踏み込んでいるよう。

「裁き(罪と罰)、救いと悟り、死の世界」

これらが示すのは、

「愛は死んだら終わるのか?」

「それでも続くのか?」

と問われているかのように私は感じる。

神話性・語感・リズムが生む”言霊的な響き”

この曲は古語のように聴こえる理由は3つあると思います。

1.「言霊」という日本古来の思想

2.倒置や曖昧な表現(和歌・祝詞的)

3.音やリズムを重視した言葉遊び

間奏には、インドネシア語も使われているそうです。

その結果ーー

言葉が”呪文”や”祈り”のように響く構造になっています。

実は「愛の言霊」は、サザンの”鎌倉ソング”

桑田佳祐さんの奥さんの原由子さんは、日々、鎌倉・湘南のハイキングコースを歩くことで、自然のパワーをもっているそうです。

そのハイキングコースは、20以上存在するそうです。

その中で”天国ハイキングコース”と呼ばれるコースがあり、

その天国ハイキングコースとセットでお勧めする楽曲が、この

「愛の言霊~Spiritual Message~」。

原坊は、

<過去に多くの人が、愚かな者が、幾千億年前の星の光見て

戦をしたり罪犯したなら、ぼくもまたそれを繰り返すのか>

というラップパートの歌詞を挙げながら、

昔は戦場だった鎌倉が背負う悲しい歴史について触れた。

 RealSound2022年10月19日配信
  「原由子鎌倉での思いでやおすすめスポットを熱弁」

この原坊のコメントから察するに、

鎌倉は

・武士の都(源頼朝が幕府を開いた)

・多くの寺院や神社が点在する(国宝には「鎌倉大仏」がある)

・死や祈りと隣り合わせの文化

つまりーー

生と死、祈り、歴史が重なっている場所

まさに、「愛の言霊」は悲しい歴史を背負った鎌倉文化と世界観が重なる。

そう、この曲の世界観を”鎌倉という現実の場所”に投影しているんではないでしょうか。

まとめ

ここまで読んで、「まだよくわからない~!」と思う人もいるかもですが、

ようは、『愛の言霊』は

・意味を説明することではなく、”感じるための歌”

だからこそ、「よく分からないのに惹かれる」「何度も聴きたくなる」「深いと感じる」

そんな不思議な魅力に溢れている。

・理解する音楽ではなく、”心で受け取る音楽”

鎌倉の歴史が歌詞に込められた音楽

鎌倉を知る人が聴くと、より深く刺さるのでしょう。

しかし、”どの土地にも重なる人間の本質の歌”でもあるように私は思います。

一見重くシビアな詩にも取れますが、

桑田さんらしい遊び心溢れる歌詞と、ヒップホップな曲調、そして神秘的でスピリチュアルな世界観が溶け合い、気づけば心の奥に静かに残り続けているーー

そんな名曲です。

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