山口百恵『曼珠沙華』とは
曲名 曼珠沙華(まんじゅしゃか)
作詞 阿木曜子
作曲 宇崎竜童
発表 1978年(アルバム「二十才の記念碑曼珠沙華
よりリリースされた)
阿木燿子と宇崎竜童という名コンビが手掛けたこの楽曲は、山口百恵が歌う曲の中でも特に〝女性の情念〟を象徴する作品として語り継がれています。
しっとりとした旋律と内面をえぐるような歌詞。
山口百恵の低く落ち着いた声が曼珠沙華という花の妖艶さと悲しさを見事に表現しています。
シングルとして発売されていないにも関わらず、こんなに存在感があり深みのある歌って、なかなかないですよね。
1978年に発売された楽曲ですが、当時の私はまだ少女。
この曲の存在には気づいてなかったと思います。
大人になるにつれ、この曲の魅力に引き込まれ、いつの間にか大好きな一曲になっていました。
カラオケでも良く歌ってたんですよね(^^♪)
歌詞の世界観とテーマ
曲は、「涙にならない悲しみ」という印象的な言葉から始まる。
私は、泣く事も出来ず胸の奥の悲しみを抱えたまま時間だけが過ぎていく主人公の姿を思い浮かべた。
心の整理がつかず、言葉にできない喪失感を表現しているように感じる。
やがて歌詞は
白い花さえ真紅(まっか)に染める作詞 阿木曜子 作曲 宇崎竜童
という印象的なこの一節が、”彼岸花=曼珠沙華”の赤と重なり、純粋な想いが燃えるような激しい情熱へ変わる瞬間を思い浮かべる。
そしてラスト・・・
命すべてをもやし尽くすの作詞 阿木曜子 作曲 宇崎竜童
私はこのフレーズを聴くたびに胸が熱くなる。
この曲の中で一番心を動かされる一節で、私が最も好きな歌詞です。
愛にすべてを懸ける女性の強さと消えゆく美しさが共存しているように感じるんですよね。
大人になってようやく、この情景が自分なりに理解できるようになりました。
カラオケでは「もやしー尽くすのお~~↑」は気合入れて歌ってます(^^♪)
彼岸花(曼珠沙華)という花の意味
学名:Lycoris radiata(リコリス・ラジアータ)
開花時期:9月中旬~10月上旬
別名: 死人花(しびとはな)
地獄花(じごくばな)
毒花 痺れ花 幽霊花 天蓋花 剃刀花
雷花 狐花 など
花言葉: 情熱
独立
悲しき思いで
あなたを想う
特性:花、茎、球根すべてに毒があると言われているが 特に球根に毒性が強いとされている。開花するまでに葉は出ず花が枯れてから葉っぱを出す。
別名が沢山ありますが、その名の通り”お彼岸”が由来となっているようです。
「彼岸」の言葉はサンスクリット語で「悟りの世界」を表しており、「あの世」をさしています。
「彼岸=あの世(死)」を連想させることから、不吉な意味の別名が多くなっているのでしょうか。
しかし、燃えるような真っ赤な花弁はとても美しいですよね。
その燃えるような赤い花は、「別れ」「情熱」だけではなく、悲しみを抱えながらも乗り越えて前へ向こうとする人の心にも重なるように感じます。
「曼珠沙華」に込められた象徴性
山口百恵の「曼珠沙華」は花としての曼珠沙華=彼岸花の象徴を、恋愛や人生の比喩として見事に表現されています。
(視点) 象徴する意味
曲の中での対比
(赤い花) 情熱・命の炎
愛に燃える女性像
(散る花) 終わりと新たな始まり
心の成長
(葉が出ない花)すれ違い
一方通行の想い
まさに「生と死」「愛と別れ」「純粋と情念」が一体となった世界。
それがこの楽曲を単なる恋愛歌ではなく、”詩的作品”に押し上げていると思います。
私は、阿木曜子さんだからこそ、このような美しく奥深い世界観を描けたのだと思います。
彼岸花と共に生きる詩「曼珠沙華」と山口百恵の永遠性
山口百恵の「曼珠沙華」は単なる昭和歌謡ではなく、それを越えた「人生の詩」。
彼岸花という花の持つ二面性
ー美と哀 熱と冷 命と死ー
を女性の内面に重ねています。
百恵ちゃんの少し影のある表情と、落ち着いた低めの歌声が、この「曼珠沙華」にとってもマッチしてますよね。
今もなお多くの人の心に響き続けている「曼珠沙華」。
秋の風が少し冷たくなったら、是非もう一度、聴いてみてください。
真紅の花びらのように、あなたの心の奥にも静かな炎が灯るかもしれませんよ。
PS.「曼珠沙華」は完成度の高い傑作品となり、プロデューサーの「アルバムだけでなくもっと多くの人に聴いて欲しい」という思いから翌年1979年3月発売のシングル「美・サイレント」のB面に収録されています。

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