1978年(昭和53年)6月25日に発売されたサザンオールスターズのデビューシングル『勝手にシンドバッド』。
発売から50年近く経った今でも、夏になると耳にする機会が多いと思いませんか。
それほど、日本の音楽史に残る名曲として語り継がれているのです。
それまでに存在しなかった独特な歌詞とアップテンポなリズム。
そして桑田佳祐さんのあの歌い方にはかなりの衝撃を受けたものでした。
初めてTVで見た時は多分、小学6年生か中学1年生ぐらいだったと思う。
「この人ふざけてる?何言ってるかわからない。でも面白い。」
と思ったような気がします。
当時は歌詞の意味など分かるはずもなく、ただ、サビの部分を替え歌にして歌っていたのは覚えている。
大人になって聴くと、桑田さんの文学的才能にドキドキする。
桑田さんが紡ぐ歌詞がとにかく面白い。
面白いと言ったら失礼かもしれないが、桑田さん色の言葉をビートに乗せ、情緒豊かにまた哀愁漂うさまは、私達の心を鷲づかみにする。
これらの要素は、もうこの『勝手にシンドバッド』で完成されていたように私は感じた。
桑田佳祐とサザンオールスターズの原点がライブやアルバムで楽しめる
「勝手にシンドバッド」の最大の魅力といえば、何と言ってもライブでの圧倒的な盛り上がり。
コンサートでは定番曲として披露されることが多く、イントロが流れた瞬間に会場のボルテージは最高潮。
観客が一体となって手拍子を打ち、サビを大合唱する光景はまさしくサザンライブの象徴だ。
桑田さん自身が「サザンオールスターズの原点」といえる楽曲だと語るほどです。
まさしく若き日のエネルギーが凝縮されており、現在でもライブでは当時の熱量を再現しているのです。
その「勝手にシンドバッド」ですが、数多くのベストアルバムにも収録されている。
だからこそ、サザンオールスターズを初めて聴く人にとって、まず押さえておきたい代表曲のひとつです。
長いキャリアの中で数々のヒット曲を生み出してきましたが、その原点にある楽曲。
そのためライブではアンコールやクライマックスを飾ることが多いという。
アルバムで聴くのもいいものですが、やはりライブで体感することでその凄さがより伝わってくる。
ザ・ベストテンで衝撃デビュー
『勝手にシンドバッド』はサザンオールスターズの記念すべきデビュー曲。
当時の音楽業界は、フォークやニューミュージックが主流。
またアイドルでは、ピンクレディーが天下を取り、「UFO」や「サウスポー」、「モンスター」など曲を出せばミリオンセラー。
そして、山口百恵も全盛期。
「プレイバックPart2」や「絶対絶命」、「いい日旅立ち」など大ヒット。
またその頃、絶頂期のキャンディーズが引退。
そして、キャンディーズが引退し4ヶ月後、サザンオールスターズはそれまでの常識を覆す斬新なスタイルで登場したのである。
そこで注目されたのが桑田さんの独特な歌唱方法。
アップテンポのロック・ナンバーを、まるで速射砲のような早口で歌うスタイルである。
日本語でありながら、何を歌っているのか分からないほど独特な発音。
これこそが、多くの視聴者に衝撃を与えたのである。
このような新鮮さが若者たちの心をつかみ、徐々に人気を拡大していった。
きっかけとなったのが、当時絶大な影響力を持っていた音楽番組「ザ・ベストテン」への出演。
1978年8月31日の「スポットライト」コーナーでのこと。
中継先のライブハウスから、ジョギング用の短パン姿や上半身裸などの風変りな衣装で登場し、凄まじい熱量で『勝手にシンドバッド』を熱唱する。
当時としては非常に型破りなスタイルとエネルギッシュなパフォーマンスで、鮮烈なTVデビューを飾ったのだった。
この出演をきっかけに、世間の注目を一気に集め、約3週間後の9月21日には同番組のベストテン内の9位で初ランクインを果たした。
しかし、従来のアイドルや歌謡曲歌手とは明らかに異なるスタイルは賛否両論を呼んだ。
芸能界のキラキラ輝く超エリートたちがひしめくなか、キャンディーズが去り心に穴が開いたその時。
突然現れた、ジーパン姿で早口言葉のロックを歌う謎の新人類。
今でこそ国民的バンドとなったサザンオールスターズですが、その伝説は『勝手にシンドバッド』とともに始まったのである。
歌詞の意味が分かるようテロップ入りの出演
後に一般化する歌詞表示の先駆的な事例として、サザンオールスターズが語られることもある。
フジテレビの音楽番組「夜のヒットスタジオ」に出演した際、歌詞テロップ入りでの出演が話題となった。
当時のテレビ界の柔軟なアイデアから始まった画期的な試みだった。
「何を言っているのかわからない!」
そんな視聴者からの問い合わせや要望が相次いだことを受け、テレビ局側が聞き取れなくても、歌詞が分かるようにするという配慮をしたのである。
『勝手にシンドバッド』の歌詞は、湘南の情景描写と男女の恋の駆け引きを巧みに掛け合わせている。
桑田さんの生まれ故郷「茅ヶ崎」を舞台に、リアルな情景が思い描かれている。
そして、サンバの踊り子が登場しそうな、躍動感のあるリズム。
まだ子供だった私は、友達と「今何時?今〇〇時!」とか、
A,「今何時?」
B,「そうねだいたいね~」
A,「今何時?」
B,「そうねだいたいね~」
A,「早く教えてよ~!!!」
なんていうやり取りが日常にあった。
『勝手にシンドバッド』のリズムに合わせ、流行り言葉のように使って遊んでいたのを思い出します。
さらには、桑田さん特有の造語のような桑田語?(私はずっと桑田語と呼んでます。桑田さん、ファンの方すみません)も特徴的といえるだろう。
メンバーと掛け合いながらリズミカルに歌う姿を見てると、楽しくなるし元気になる。
そして、日本語の響きを上手くリズムに乗せて歌うサザンオールスターズは、まさにコミックバンドと言われてもおかしくなかった。
それほど当時の子供達はノリノリに歌っていたんではないだろうか。
まさしく、桑田さんによる言葉遊びの宝庫。
かくして、今までの常識を打ち破った革命的な存在となったのである。
志村けんが元ネタという衝撃エピソード
2020年4月4日、桑田さんがパーソナリティーを務めるTOKYO FM「桑田佳祐のやさしい夜遊び」で衝撃の事実を告白する。
桑田さんはこの日、3月29日に新型コロナウイルスの影響で肺炎のため亡くなった
志村けんさんを追悼しました。
そして志村さんが、ドリフターズのバラエティー番組「8時だョ!全員集合」で流行らせたギャグ「勝手にシンドバッド」からインスピレーションを得たと告白したのである。
沢田研二さんの「勝手にしやがれ」とピンク・レディーさんの「渚のシンドバッド」の2曲の音源を交互に流し、志村さんがそれぞれの特徴的な振り付けを瞬時に切り替えながら無理やり1曲のように踊る、というネタ。
このコントの中で、志村さんが「勝手にシンドバッド!!」と叫んでいたのを、たまたま桑田さんがTVで見ていて「面白いな」と強い印象を受けたそう。
つまり『勝手にシンドバッド』のタイトルのルーツは、志村さんにあると明かしたのである。
その後も、志村さんはバラエティ番組などでサザンオールスターズの楽曲をネタに使い、桑田さんと共演した際には、絶妙な掛け合いを見せていた。
そのため、お互いをリスペクトし合う関係性があったという。
志村さんのコミカルなパフォーマンスがタイトルの元ネタだったと知ると、こうしたお祭りのような曲調にも納得できますね。
桑田さんは、涙ながらに志村けんさんに最大級の感謝を伝えています。
最後に
『勝手にシンドバッド』は、日本の音楽シーンに大きな衝撃を与えた歴史的な一曲。
洋楽と歌謡曲が混在したような、とてもリズミカルで皆を元気にする楽曲。
計算していないようで計算しているフレーズの組み合わせは、自由奔放な言葉と音が拮抗し成功している。
後に多くの名曲が誕生していくさまを見てきたからこそだが、恐ろしく天才なんだと今更ながら驚いている。
なのに、ファンを大事にし偉ぶらず、セクシーでかっこいい桑田さん。
いつまでも歌っていて欲しいです。


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