1996年「愛の言霊~Spiritual Message~」「太陽は罪な奴」、1997年「BLUE HEAVEN」、1998年「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」、1999年「イエローマン~星の王子様」と、サザンらしく個性的な楽曲が次々と世に放った後、なんと、2000年にファンをいい意味裏切る正統派バラードを発表しました。
サザンオールスターズの数ある名曲の中でも、歴代シングル売上1位(約300万枚)という金字塔を打ち立てた『TSUNAMI』。
同年の第42回日本レコード大賞も受賞しました。
2000年のリリースから四半世紀経ったいまでも、愛され続けている大名曲です。
しかし、この曲の「歌詞の本当の意味」や「その後に辿った歴史」については、意外と知られていない事実も存在します。
実は私はこの頃、シングルマザーとして歩みだし、小さな子供をかかえ仕事に育児に奮闘している時でした。
車中では、サザンではなく、幼児向けの音楽、ディズニーをよく流してたかな。
こんなにヒットした『TSUNAMI』だけど、この頃の私には印象が薄かった。
だけどここでは、『TSUNAMI』の事を書きたい。
ブログを書き始めてからずっと「早くこの曲のことを書かなくては」と思っていました。
心に沁み渡るイントロのアカペラから、TV番組のテーマソングとしてタイアップ、そして東日本大震災を経て桑田佳祐さんが込めた想いまでを、紐解いていきたいと思う。
『TUNAMI』はアカペラから始まり切なさを引き立てる
この楽曲はイントロがなく、桑田佳祐さんのアカペラから始まる構成が大きな特徴です。
近年では、イントロの少ない曲をよく耳にしますよね。
代表的なところでは、LiSAさんの「紅蓮華」やAdoさんの「うっせぇわ」などがあります。
こうした背景には、音楽の聴き方の変化が関係しているといいます。
サブスクや動画の倍速視聴の普及によって、歌い出しから始まる「ゼロイントロ」が主流となったからだとか。
そんな時代を先取りしていたと考えると、『TSUNAMI』ってすごい曲だと思いませんか。
さらにはサビの壮大さとのギャップもあり、曲そのものが大きなインパクトを残しました。
風に戸惑う弱気な僕
通りすがる あの日の幻影(かげ)
本当は見た目以上 涙もろい過去がある作詞作曲 桑田佳祐
桑田さんのしゃがれた、しかし温かみのある歌声が響き渡ることで、聴き手は一瞬で曲の世界観へと引き込まれます。
そんな歌い出しは情景描写が静かで、心の弱さや迷いが語られています。
恋愛に限らず、自信が持てないときには、こうした気持ちになりがちですよね。
まるで私たちの気持ちを代弁しているかのようです。
そして、この静かな始まりがあるからこそ、サビに向けて感情が大きく波打つように盛り上がっていくのです。
『TSUNAMI』の歌詞の意味:押し寄せる感情と「男の未練」
大切な人だからこそ、失うことへの恐れがある。
そして、その相反する感情が一気に押し寄せる激しさを、「津波」に、
恋の終わりや、忘れられない人への未練を「波」に例えて描かれています。
「身も心も失ったような強いショック」
「自分の意思では止められない、相手を想う気持ちの昂ぶり」
これらを、一気に飲み込んでいくことを「津波」という言葉で表現しています。
自分の弱さや情けなさを自覚しながらも、どうしても諦めきれない「男の未練」が描かれているようにも私は思います。
実は、歌い出しの静けさから一転して、サビではオーケストラやコーラスが加わります。
ここで一気に感情が解放されるような演出がたまりませんね。
『TSUNAMI』はカラオケでも人気
J-POPシーンを代表する曲として多くの歌番組に登場し、カラオケランキングでも長年人気を維持しています。
恋愛ソングでありながら、人間の感情や生き様など、人生そのものを感じさせるスケール感があります。
だからこそ、多くの人の心に響いたのでしょう。
いざカラオケで歌おうとすると、サビ部分の音が高すぎて声が出ませんよね。
これ、声が低い人にはつらい悩みかもしれませんが、上手く歌えば盛り上がること間違いなし!
『TSUNAMI』はTV番組のテーマソングだった
そんな『TSUNAMI』は、ミリオンセラーを記録した国民的大ヒット曲です。
元々はTBS系『ウンナンのホントコ!』の恋愛ドキュメンタリー企画
『未来日記III』のテーマソングでした。
これって、知っていましたか?
私は知らなかった。
イメージと違うんだけど。
でも番組を知ってたらそうは思わないのかな?
この番組、テーマは「三角関係」。
男性の親友2人と女性1人によるショートドラマのようでした。
ドラマのストーリーとリンクした切ない歌詞が、多くの視聴者の涙を誘ったようです。
当時を知る人にとっては、思い出が蘇る一曲ではないでしょうか。
いわば『未来日記』は、恋愛リアリティショーの先駆けとして、当時絶大な支持を集めたようです。
こうした背景を知ると、より感慨深いものがありますよね。
東日本大震災と『TSTUNAMI』が歩んだ苦難の歴史
この恋の情熱を表現した名曲『TSUNAMI』が、後の出来事により複雑な意味を持つことになり、扱いが一変することになります。
その出来事が2011年3月11日に発生した東日本大震災です。
大規模な大津波によって莫大な被害が出たことから、「津波」という言葉は日本人にとって深い悲しみを伴うものとなりました。
被災者の心情や遺族への配慮として、ラジオやテレビなどのメディアで、オンエアを自粛する動きが広がったのです。
この曲に罪はないのに。
サザンオールスターズのメンバーやスタッフもまた、「音楽が人を傷つけてはならない」という想いがあったのでしょう。
ライブでの演奏を長きにわたり封印することを選んでいます。
もちろん、楽曲自体に問題があったわけではありません。
多くの人々に愛されてきた名曲だからこそ、被災者への配慮を最優先に考えた結果だったようです。
東日本大震災以降、桑田佳祐さんは被災地でのライブ開催などを通じて、被災地へ寄り添う活動を続けています。
桑田さん自身、「震災はまだ終わっていない」という思いがあり、『TSUNAMI』を歌う機会は極めて慎重に選ばれているようです。
そのため、ファンの間でも「簡単には歌えない曲になってしまった」という声が多く聞かれました。
『TSUNAMI』は「究極のラブバラード」。
しかし
「どんなに深い傷や悲しみが押し寄せても、それを乗り越えて生きていく」
という、より深い人間愛や希望のメッセージと共に、
「人々の心に寄り添う壮大なメッセージソング」
へと昇華したのではないでしょうか。
そしていつの日か、ライブやメディアで、
『TSUNAMI』=「壮大なメッセージソング」として桑田佳祐さんが歌う日が来るのを、心から願っています。

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