サザン『Saudade~真冬の蜃気楼~』歌詞考察/サウダージの意味とリオの情景

サザンオールスターズの「Saudade~真冬の蜃気楼」は、1988年発売のアルバム「さくら」に収録された、ボサノバ調でミドルテンポな楽曲です。

都会的で洗練された、哀愁を帯びたメロディー。

そして、ブラジル文化の影響を色濃く感じられます。

タイトルにある「 Saudade(サウダージ)」という言葉や、歌詞に登場する「アフォシエ」「イエマンジャー」などの表現は、日本のポップスではあまり見られないのでは。

でも、日本のボサノバ歌手の小野リサさんが歌う、「Flor de   Yemanja’(イエマンジャの花)」という楽曲はあるんです。

小野リサさんの、ギター弾き語りも素敵ですよね。

さて今回は、「サザン隠れ名曲」の中から、私の好きな「Saudade~真冬の蜃気楼~」を選びました。

「歌詞の意味」という視点から、言葉の意味や背景にあるブラジル文化に触れながら、紐解いていきたいと思います。

Saudade意味読み方/サウダージとは何か

「Saudade(サウダージ)」は、ポルトガル語の単語で、ブラジル音楽や文化の中で重要な概念です。

一般的には

・懐かしさ

・恋しさ

・過去への失ったものへの想い

・二度と戻らない時間への郷愁

といった意味を持ちますが、単なるノスタルジーではなく、失われたものに対する複雑な感情を含んでいます。

この言葉が主タイトルに使われていることから、

・その場所に対する記憶

・そこにいた誰か(恋人?)への想い

を表現していると考えられます。

サウダージの意味としては、単なる懐かしさだけではなく、

”もう戻れないと分かっているからこそ美しい記憶”なのではないでしょうか。

真冬の蜃気楼歌詞意味/見えているのに届かないもの

サブタイトルの「真冬の蜃気楼」という表現は、この曲の印象的なキーワードです。

蜃気楼は実際に冬でも発生する自然現象であり、存在しているように見えて実体がないという特徴があります。

・見えているのに触れられないもの(決して届かない距離)

・過去の記憶や遠い場所のイメージ(幻のような切なさ)

を表現しているように感じます。

カーニバルが示す「非日常の記憶」

楽曲の冒頭から

街は今カーニバル

作詞作曲 桑田佳祐

ここで一気に、舞台は南米ブラジルの空気へと引き込まれます。

えっ?真冬なのにカーニバル?

と思った人も多いのでは。

カーニバルといえば、リオのカーニバルを思い浮かべるでしょう。

陽気で情熱的な音楽、人々の熱気、非日常の祝祭。

この一言だけで

”日常とは切り離された特別な時間や、鮮やかな時間”

が提示されているように感じます。

「真冬の蜃気楼」とは対比しますが、

日本が真冬のときは、南半球のブラジルは真夏です。

そう、飛行機で飛ぶと、まるまる1日かかります。

真冬の日本から、熱く神秘的なブラジルのへ思いを馳せることで、前述したように「決して届かない距離」や「幻(蜃気楼)」のような切なさが強調されているように思います。

リオの地名が持つリアリティ

歌詞の中盤では

霧雨のウルカ

コルコバートの丘

  作詞作曲 桑田佳祐

これらはどちらもブラジル・リオデジャネイロに実在する場所です。

このことから楽曲が単なる空想ではなく、実体験のようなリアリティを持った記憶であることを感じさせます。

大切な人と訪れた、思い出深い土地なのかもしれません。

「ウルカ」は、リオデジャネイロに実在する高級住宅街であり、コルコバートの丘の麓に位置しています。

そして「コルコバードの丘」は世界屈指の絶景を楽しめる人気の観光名所です。

特に山頂にある巨大なキリスト像は大迫力です!

高さ38mもあるそうです!

ブラジルは長きにわたり、ポルトガルの植民地でしたが、1822年に独立しました。

このブラジル独立100周年を記念して建てられたものが、このキリスト像です。

リオは、ポルトガル語で「キリストの神が守る街」という意味を持っています。

リオデジャネイロはとても神秘的な街なんですね。

つまりこの楽曲は、

単なるイメージではなく、実在する場所の記憶をベースに描かれているようです。

また「霧雨」という表現が印象的で、楽しいはずの記憶に、どこか陰りや終わりの気配が滲んでいるように感じます。

音楽と宗教の要素

2番で登場する

アフォシエの魔法で逢いましょう

作詞作曲 桑田佳祐

「アフォシエ(Afoxe’)」は、ブラジル・バイ―ア州発祥のアフリカ系宗教の文化に基づいた音楽やパレードのリズムの総称です。

つまり、音楽や祈りと深く結びついています。

音楽やリズムによる高揚感とどこか神秘的な空気が重なります。

まるで、遠く離れた場所にいる誰かを想いながら、「アフォシエの音楽を聴きながら祈り、あの人と逢いたい」という思いのような気もします。

海と信仰のイメージ

イエマンジャーの歌が好き

 作詞作曲 桑田佳祐

「イエマンジャ」はブラジルの宗教に登場する海の女神です。

海と深く結びついた存在であり、ブラジルの文化や音楽にも頻繁に登場します。

「イエマンジャーの歌」は作詞ヴィニシウス・ヂ・モライス、作曲バーデン・パウエルによる「アフロ・サンバ」(1966年)に収録されています。

愛を失った悲しみを癒すために「サルバドールの海(ブラジル北東部の大西洋に面したとても美しい海)へ、イエマンジャーの歌を聴きにおいで」と優しく歌いかける神秘的で哀愁漂う名曲です。

桑田さんはその歌が好きだったのでしょうか。

前述した「アフォシエの魔法」との相乗作用で、

単なる恋愛の再開ではなく、

”祈り”や”音楽”といった、目に見えない力にすがるような想いと、現実には叶わない再開を願う。

そんなとても切実で、どこか幻想的な願いに聞こえてきます。

まとめ

「Saudade~真冬の蜃気楼~」は、異国の記憶と現在の孤独が交じり合うことで生まれる、非常に繊細な楽曲です。

ブラジル文化の言葉を盛り込むことで、音楽とリズムによる高揚感と、神秘的な空気が纏っています。

”遠く離れた誰かと、音楽や祈りを通して繋がりたい”

現在の孤独と再会への願いが込められている。

これが、”Saudade”の正体なのかもしれません。

真夏のライブでも歌って欲しい、座ってじっくり聴きたい名曲です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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